がん診療におけるPET-CT

がんの活動性を画像診断。遠隔転移も検出

FDG-PET/CTはがんの診療において重要な検査であり、現在広く用いられています。がん細胞は通常の細胞に比べ糖代謝が亢進しており、正常細胞の3倍~8倍多く糖を取り込みます。プドウ糖類似物質であるFDG(フルオロデオキシグルコース)という放射性薬剤を注射、がん細胞にFDGが多く取り込まれることを利用し、がん細胞の活動性=はたらき=を画像化することができます。従来の画像診断(CT、MRI、超音波検査など)は、腫瘍の大きさすなわち形態をみる画像診断でしたが、PET検査は腫瘍の機能や活動性がわかり、悪性度も推測可能です。 PET-CTにより形態と機能の両者を合わせることで、より正確な診断が可能となります。

PET-CTのよい適応としては、①形態学的画像診断で指摘困難、確定困難な場合②広範囲を撮像でき、遠隔転移や予期せぬ病変を検出できる③腫瘍マーカーの上昇があるがCTなどで再発の診断が困難な場合があります。

PET Positron Emission Tomography(ポジトロン・エミッション・トモグラフィー)の略で、「陽電子放射断層撮影」の意。

悪性腫瘍のPET-CT診断に保険適応

当院では2012年10月の新病院移転時にPET-CTを導入し、肺癌、悪性リンパ腫などの診断で多く利用されています。患者支援センター(地域連携室)経由での検査依頼は当院のPET-CT検査全体の4割強を占めています。放射性薬剤であるFDGは患者さんごとに外部から購入していますが、寿命の短い薬剤であり(半減期約110分)、予約時間以外の検査はできません(完全予約制)。保険適応疾患としては、早期胃癌を除く悪性腫瘍(悪性リンパ腫を含む)となっています。病理診断が困難な場合については、臨床上高い蓋然性をもって悪性腫瘤と診断されれば、保険適応が可能とされます。より適正なPET-CT検査の実施という観点からは、以下の検査目的の範囲内で実施することが推奨されています。

  1. 治療前の病期診断
  2. 二段階治療を施行中の患者において、第一段階治療完了後の第二段階治療方針決定のための、病期診断。例えば、術前化学療法後、または、術前化学放射線治療後における、術前の病期診断等。
  3. 転移・再発を疑う臨床的徴候、検査所見がある場合の診断。
  4. 手術、放射線治療などによる変形や瘢痕などのため他の方法では再発の有無が確認困難な場合。
  5. 経過観察などから治療が有効と思われるにもかかわらず他の画像診断等で腫瘤が残存しており、腫瘍が残存しているのか、肉芽・線維などの非腫瘍組織による残存腫瘤なのか、を鑑別する必要がある場合。
  6. 悪性リンパ腫の治療効果判定。

検査前6時間は絶食

PET-CT検査時の注意点として、最も重要なのが絶食です。当院では検査前6時間の絶食としています。前日から激しい運動も避けていただきます。一人で着替えができる、検査用の待機室で一人で1時間程度過ごすことができるなどADL(日常生活の基本動作)が保たれていることも必要であり、車椅子移動の方についてはご家族の方に検査開始から終了まで(約2時間半~3時間程度)の付き添いをお願いしています。

高血糖(150mg/dl以上)の場合は画質が悪くなり、診断に影響する場合があります。PET検査の被ばくとしては、胃透視1回分程度でありこれにCTの被ばくが加わりますが、健康に問題はありません。PET-CT診断をご希望の患者さんは、医師を通じて、当院の患者支援センターFAX予約を利用してご来院ください。

放射線科・小亀 雅広

症例1 肺に結節影→生検、PET-CTで病期診断

60歳代男性。検診にて胸部異常陰影を指摘されました。CTで右肺下葉に径14mm程度の結節影を認めました。放射線科にてCTガイド下生検が施行され、腺がんと診断。病期診断目的でPET-CTが施行されました。PET-CTで、右下葉の肺癌原発巣にはSUVmax 10.0の集積亢進を認めました。その他全身には転移を示唆するような異常集積はみられませんでした。肺がんの疾患としては、リンパ節転移、遠隔転移を認めず、StageIAと診断され、手術が施行されました。
※SUV=FDG集積度

右下葉の肺がん

症例2 腫瘍マーカー上昇→PET-CTで検出

直腸癌術後の患者さんです。数ヶ月前から腫瘍マーカーの上昇がみられましたが、胸腹部造影CTで明らかな病変を指摘できませんでした。PET-CT検査では直腸術後断端に比較的高度のFDG集積がみられ、局所の再発病変が考えられました。造影CTを見直しても治療後の変化のため診断は難しく、従来の検査では診断の難しい病変でした。

腫瘍マーカーの写真

PET-CT検査実績

PET-CT検査数の推移

PET適応疾患別(3557件)

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