ステントグラフト治療

 ステントグラフト治療は胸部や腹部の大動脈瘤に対する低侵襲治療で、小切開もしくは穿刺法にて行う血管内治療です。低侵襲であるため生活の質を落とさず術後早期の社会復帰が可能です。合併症をもった患者様やご高齢の患者様、また入院期間を短くしたい患者様には最適な治療です。
 当科では2008年6月からステントグラフト治療を開始し、中四国地方でも有数の症例数の治療を行い多くの治療実績を重ねてきました。現在使用できるステントグラフトは腹部5機種、胸部5機種あり当院ではすべての機種のステントグラフトを使用可能で、患者様の動脈瘤の形態に合わせて最適なステントグラフトを使用することにより良好な中期、遠隔期成績が望めるようになってきました。また形態的に適さない場合でも特殊な方法を用いて多くの患者様にステントグラフト治療が適応できるようになってきています。しかし確実な治療を行うことが重要で場合によっては従来の外科的治療が第一選択となる場合もあります。また従来の外科的治療とステントグラフト治療とを組み合わせる(ハイブリッド治療)ことにより体への負担を軽減することも可能となってきています。

治療方法

 通常鼠径部の小切開で行います。場合によっては腹部を小切開して行うこともあります。血管の内側にステントグラフトとよばれる拡張力をもった人工血管を挿入します。動脈瘤の前後の性状の良い血管にまたがるように挿入し動脈瘤への血流を遮断します。経過と共に多くの動脈瘤は縮小していきます。

ステントグラフト治療

ステントグラフト治療

形態的適応外症例に対するステントグラフト治療

ステントグラフト治療

頚部3分枝の血管に動脈瘤が近い場合のステントグラフト治療
腎動脈に近い腹部大動脈瘤のステントグラフト治療
胸腹部にまたがる動脈瘤のステントグラフト治療

ハイブリッド治療

ステントグラフト治療

 開胸、開腹を要する従来の人工血管置換術にステントグラフト治療を組み合わせることにより侵襲を軽減できます。

大動脈解離に対するステントグラフト治療

 大動脈解離とは血管の壁が2層に剥がれる状態でA型とB型があります。A型は心臓に近い上行大動脈に解離がある状態で通常開胸による人工血管置換術の適応となります。B型は下行大動脈が2層に剥がれる状態で通常は降圧安静治療が基本となりますが場合によっては広範囲な胸腹部解離性大動脈瘤へと発展します。そのような患者様に早期にステントグラフト治療を行うという考えが注目されてきています。ステントグラフトで裂け目を塞ぐことにより解離腔の縮小が期待できます。

ステントグラフト治療